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第1部 三章【護りのミサト!】その4 第伍話 中野の最速対々

Author: 彼方
last update Last Updated: 2025-11-27 18:30:00

64.

第伍話 中野の最速対々

二回戦

A卓

東家 中野雅也

南家 飯田雪

西家 井川美沙都

北家 鳥栖大毅

この座順でゲームスタート

「ユキ、あなたもトップだったの」

「ええ、私だって伊達にミサトの相棒をやってないからね」

「私としても鼻が高いわ」

 すると中野が黙っていられないという顔で会話に割って入ってきた。

「おれも元プロ雀士だ。ただ見ていただけで見せ場も作れずにやられました。なんてわけにはいかない!」

「そうよね、期待してるわよ。新人王」

「C3リーグ優勝の実力を見せてくださいよ」

「ぐぐぐっ! 完全に舐められてるな」

「えー? なんでそうなるのよ。私はただ思ったことをそのまま言っただけよ」

「まあ、私は若干舐めましたけど。所詮は一般人なのかなって。私たち『牌戦士』とは覚悟も違うだろうし」

「ちょっと、ユキ! 失礼よ、謝って」

「いや、すいません。でもせっかくの対局だからもうちょっと中野さんのカッコいい所見てみたいなと思って。中野さん達だってこのまま終わったら不完全燃焼じゃないですか? とは言え、花火大会は行きたいからもう半荘やる時間はないし」

「焚き付けてくれたってことね。オッケー…… おれもそこまでされてジッとしてるような男じゃない。見せてやるよ。新人王の本気をさ!」

「待ってました!」

 ユキの挑発を受けて中野雅也のハートに火がついた。そこからはリーチに対しても怯まず押し返して、それでいて本命だけは押さえて。上手いことテンパイさせた。

そして……

「ポン!」

中をポン

南2局中野の仕掛け。

中野手牌

??????????(中中中)

 中野の親番はもうない。総合優勝するにはミサトとユキを潰した上での40000点近いトップが必要でありこの手は満貫以下の可能性はほぼゼロと言っていいだろう。

次巡

中野

打北(1枚切れ)

ユキ

「リーチ!」

 それに対して中野は一発目から危険な牌を手出しする!

中野

打四(手出し)

 ユキは萬子を八萬の1枚しか捨ててない。四萬などモロに危険な牌だと言える。

 その四萬を見て鳥栖がスジの一萬を切る。すると。

「ポン!」

打⑨(安牌)

中野手牌

???????(一一一)(中中中)

「なっ?」

 その次巡にユキが九萬を掴む。

「ロン!」

中野手牌

赤伍伍伍九九②②(一一一)(中中中) 九ロン

「満貫」

「安全牌の北を四萬と交換して…… リーチが入るまでキープしたあとリーチ後に四萬を捨てる事で一萬を釣り出して対々和を最速で作ったってこと!?」

「思惑が外れて一萬が出なくても七萬を出してもらえたら九萬を狙いやすい場にもなる」

「しかも実際には伍萬の3枚壁があるから四-七の可能性は少なくて安全性も多少はある。戦略のリスクに見合った見返りもある…か」

「しかし、一発目にやるのがすごい。一発目くらいたまたま引いた安全牌の⑨筒を捨てそうなもんですけど……」

 ミサトもユキも鳥栖大毅も、そのトイトイに驚愕して一瞬時が止まった。

 ゴクリ

(これが、新人王中野雅也……!!)

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